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VIXのPutオプションによるイベントトレード

だいたい6分で読めます

短期間で高収益、かつ 比較的 安全な手法として、VIXを利用した取引ルールを作ってみました。
10月中に試したところ中々良さそうだったので、この記事にまとめておきます。
精神的に優しいので初心者向けの手法と言えるでしょう。

なお、オプションを理解している必要があるため、あまり詳しくない方は調べてつつ読んでみてください。
また、取引にはIB証券などの米国証券口座が必要です。

VIXとは

VIXはやや特殊なインデックスで、慣用的には 相場参加者の考える不安定さ が値になっていると言えます。
より正確には「今後の30日間で予想される、オプションマーケットから割り出したS&P 500の年間変動率」だったかと思いますが、今回は関係ないので省きます。

https://en.wikipedia.org/wiki/VIX

さて、VIXは 大体の時期で一定して低い という特徴を持ちます。昨今であれば、20以下が通常営業といったところでしょうか。
そして、米国株が急落すると ポ~ンと上がり 、しばらくすると戻ってきます。この世の終わりみたいな相場では、40を超えて中々戻ってこないこともありました。
なお、急騰しても上がりますが、急落ほどではないです。民意が反映されているのか、変動率だからかはわかりません……いずれ調べたいところ。

VIX 1年
VIX 1年
VIX 5年
VIX 5年

(画像はYahoo Finance: https://finance.yahoo.com/quote/%5EVIX/ より)

ちなみに、そのVIXの価格は一日で10%動くのがザラです。
大急落が起きて20 -> 30になったとすると150%の変動ですね。
ストップ安なんて概念は無いので、いくらでも動けます。

VIXを使った取引手法

このようなグラフを見ると、下記の戦略が浮かぶかと思います。

  1. 低い時に買って、上がったら売る
  2. 高い時に売って、下がったら買い戻す

ですが、1はオススメできず、2も普通に取引すると中々厄介です。

「低い時に買って、上がったら売る」手法の問題点

まず、VIXは実体がないインデックスなので、保有してずっと持っておくということができません。
取引する時は先物なので、必ず ロールオーバーコスト が発生します。
いつ上がるかは分からないので、ひたすらコストを払い続けることになります。
さらに、毎月ロールオーバーする手間がかかります。

また、長期間保有する場合、その資金は塩漬けです。
米ドルの金利が高い中、資金を先物にしてひたすら待つのは辛いものがありますね。

「高い時に売って、下がったら買い戻す」手法

一方、こちらは 下がる時期が比較的読みやすい という利点があります。
相場が崩壊していなければ、通常1週間もあればどこかで元の水準に戻ってきます。

ですが、先物を売って十分な利益を出すと考えると、常に ロスカット の危険があります。
仮に20で売って1か月後に15になったとしても、その間に30になったら資金がショートする可能性が高いです。
そして、過去の例を見ると 40になってもおかしくはありません
さらに悪いことに、 取引時間外によく動く ので逆指値を設定していても遥か遠くで約定することが多いです。

例えば、1枚(1000単位)売ると20*1000=20K必要です(実際は証拠金取引なので減りますが)。
VIX価格が-5になれば5K増えてヤッターとなりますが、+10になったら-10Kです。
この例では、 取りたいポジションの1.5倍の資金 (30K)を用意していないと退場でした。

Putオプションを使った手法

という訳で、こんな時のためのオプションです。
Putを買うことで、 保険料を支払う代わりに安全を手に入れて みます。

具体的なルールは以下です。

  • VIXが25を超えたらオプション価格を見る
  • 期日が1か月以上で、Putオプション購入の損益分岐点が20.0以上の時に買う
  • 利確する値を最初に決める
  • 1週間前で同値撤退 or 利確をする
  • 損切りは1週間前のどこかで行う

シンプルですね。

ぷるさんはVIXが25以上になったので、VIXのオプションを漁りました。
すると、33日後の26 PUTが$6.0だったので、これを10単位買いました。
VIXが15になったら利確するように設定し、就寝しました。

(1) 20日後、VIXが15になったので決済しました。Deep ITMなので、時間価値は剥げて利益はほぼ5 * 1000 = 5Kでした。
(2) 20日後、VIXが22になりました。ATMなので、時間価値が加わり同値撤退ができました。

メリット

一番のメリットは、 損失が限定される ことです。
当然ですが、最初に支払ったプレミアム以上の損失は生まれません。
これは資金管理を楽にし、かつ身の丈にあったポジションを取る助けになります。

次に、 撤退が楽 という初心者に優しい仕様になっています。
仮に期日の近くでVIXがストライク近くになると、持っているオプションはITMになり、時間価格が多く加わるため損失が抑えられます。
同値撤退が非常にしやすく、心が休まります。

最後に、 利幅が分かりやすい のも良いです。
購入時に「VIXが15になったら利確」と決めやすいので、最終利益も最悪時の損失もわかり、リスク・リワード比を考えたトレードができます。

なお、オプション取引で心配になる板の薄さですが、アービトラージかマーケットメイクかのbotがいるかしてVIXは異常に板が厚いです。おおよその時間でスプレッドは0.1(最小単位)でしょう。

デメリット

このようなメリットはあるものの、当然デメリットがあります。

とにかく プレミアムが高い です。
VIXが高いということはIVが高いので、必然的に高いプレミアムを払うことになります。
また、安全性を上げるためある程度の日数が必要なので、時間価値も加わってきます。
これら二重苦が期待値を下げてきます。

そして、何より 機会が限られる ことが問題です。
1年に1回あればいいか……というルールなので、この収益を当てにして暮らすことはできません。

まとめ

安全性と収益性の高いトレードを行うため、VIXのPutオプションを購入するルールを作りました。
機会は非常に少ないですが、資金拘束も短時間であり急落相場で収益機会を作れるので、検討する価値はあるのではないでしょうか。

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