5か月間の語学留学による英語力の変化
オーストラリアで5か月ほど語学留学をしてきました。この記事では、英語の能力がどう変わったかについて記載します。留学にかかる費用や都市の特徴などのトピックもありますが、それはまた別の記事で。
留学前の情報
いきなり反省ですが、留学前にIELTSかTOEFLを受けておくべきでした。定量的な能力の変化が分かりませんでした。
留学直前に受けたTOEICは900で、WritingとSpeakingは全くの謎です。以下は当時を思い出して四技能の総評を書いています。
Reading
普通に文章を読むことは出来ますが、複雑な文章だと 何度も読み直して います。一分間に読めるスピード(WPM)は、簡単な文章で 150程度 でしょうか。ゆったり。文章を前から読んでいるものの、やや 頭には入ってこない 感じがあります。英語の技術文書は平易なので読めますが、小説や新聞記事はなかなか厳しいです。
Listening
ゆっくりしたプレゼンは聞き取れますが、あまり頭には入ってきません。音としては聞こえるものの、 直接理解するのはやや難しい という状態でしょうか。 音も正確にはわからない ので、単語を間違って解釈していることが多く発生します。やや速い英語だと音も分からず、歌やドラマなどは題意を取るのも不可能です。TOEFLの問題をやりましたが、すぐに露頭に迷い問題に答えるどころではないことがしばしばです。
Writing
ある程度文法的に正しい文章は書けますが、複雑な文法を使った表現はできず、ほぼ 単語を並べているだけ と言えるでしょう。受験英語の翻訳課題ならそれでも良いですが、ネイティブから見ると極めて稚拙な文章に見えると思われます。
Speaking
簡単な文章でもぱっとは出てきません。時制の間違いが頻繁に発生します。疑問文が平叙文になったり、文法的間違いがあり 単語を並べているだけ と言えるでしょう。発音は日本的で、伝わりにくいこと間違いなし。
Summary
技術文書を読む必要があったため、簡単な文書を必要なところだけ読むことは出来ていました。逆にそれ以外は特に使うことがなかったため、受験で習った基本的なスキルに留まっています。
留学後の情報
5か月ほど語学学校に通い、その間はほぼ全て英語の情報のみを使っていました(Twitterは例外)。ホームステイをしていたため、家に帰っても家族と会話をしたりテレビを見たりと鍛える機会がありました。
最後に受けたIELTSは Overall 7.5 (R:8.5, L:8.5, W:6.5, S:6.0) でした。以下は四技能の現状です。
Reading
あまり大きな変化は実感していませんが、 語彙力 と 速度向上 に加え 文法の曖昧な部分が解消している ので、前より理解度が上がっているのは確かです。IELTSの問題であれば、 要求時間内にほぼ理解 できます。分からない単語があっても 推測が効く ので、困ることは少ないです。
速読も鍛えられており、学校でやった速読テストは WPMが300 近く出ました。これは比較的簡単な文章(TOEICの中〜後半程度)をひたすらすっ飛ばして読んだ後問題に答える訓練です。ネイティブなら500は出ると思います。
サンプルは少ないですが、難解な(大人向けな)文学小説は未だに 全く読めません 。これはSLV12000 Lv.8が覚えられていない語彙力に起因していると見られます。なお、個人的には科学雑誌や新聞の方が読みやすいです。
Listening
大きな変化としては、 長い会話が聞き取れるようになった ことが挙げられます。IELTSやTOEFLは 5分ほど喋り続けている問題 がありますが、あまり苦になりませんでした。音に慣れたのと、英語のまま理解できるようになったからだと考えられます。
音の違いがわかるようになり、簡単な例ではlとrの差が認識できるようになりました。その結果、日本語での「wrong」を聞くと「long」と紐付けられてしまい混乱を招きました。
音がくっついていたりアクセントが激しかったりと、聞きにくくなる要因にも慣れてきました。徐々に速い英語も聞き取れるようになっています。どこの国かを推測する余裕も出てきます。
とは言え、ドラマや(外国産)アニメで速いものは相変わらず聞き取れません。特に アメリカ産 は単に速いのか、音に慣れていないのかして、厳しいものが多いです。曲の歌詞も取れないものが多く、もっと音に慣れる必要がありそうです。
Writing
エッセイ形式で構造化された文書 が書けるようになりました。英語の文章は日本語のそれと構造から異なっており、見出しが少なくパラグラフ分けで意味を分割することが多いです。そのような形式を適用できるようになり、構造的にまとまった文章が作れるようになってきました。
簡単な表現はためらわず書けるので、 複雑な文法 を使う余裕も出てきました。エッセイ特有の 難しい語彙 もいくつか使えるようになり、表現力という点では以前と比べ物にならないでしょう。
しかし、ぱっと文法や語彙が出てこなかったり、まだまだ大量の文章を短時間で書くには程遠いです。また、文法や語彙のミスが発生し、意味の通らない文章になることも多々あります。
Speaking
基本的な会話は出来る ようになりました。聞き取れれば答えはできますし、自分の考えを述べることもおおよそできます。時折伝わらないこともありますが、多少時間をかければなんとかなります。なお、会話の恐怖は電話だとまだ感じます。
英語圏での基本的な受け答えの仕方についても学びました。これはコミュ力の問題だと思いますが、異国語だと 正しく対話する 重要性を感じさせられます。
発音は上手いというレベルには 程遠い です。特に文章中のアクセントが厳しい。ここが気になるレベルになるまでに時間がかかっており、満足いくレベルには至る訓練ができませんでした。
上記にも関連しますが、 スラスラと話す のもまだ出来ません。複雑な文章だと、構成したり文法を確認したりするのに時間がかかり、どうしてもワンテンポ遅れます。
感想
5か月の間真面目に学校に通うと、さすがに能力としては伸びます。ですが、鍛えなかった箇所が伸びないのは自然の摂理です。 弱点を見極めてそこに特化した対策をする のは重要で、それに加えて 四技能満遍なく伸ばす ことで効率よく英語が使えるようになるのかな、と感じました。
これから留学を考えている方へのアドバイスは、以下の3点が挙げられます。
- 目的を決め、現状を測定しましょう
- 日本でも可能かを考えましょう
- 特に、ネットを使った学習はどこでもできる
- 最初の留学は3か月がおすすめ
- 長いとダレる
- 土地や学校が合わなかった場合のリスクを減らす
私の経験では、留学の意義は「モチベーション維持」と「海外で暮らす経験を得る」という点にあり、英語学習という点では日本にいてもそこまで大きくは変わりません。英語のみを使う学校を探し、家に一人で籠ればほとんど同じです。仕事をしているなら、まずは3か月休職してバカンス気分で行くのが最も安全です。
まとめ
書き出してみると、留学前と後では随分と英語運用能力が高まったと感じました。しかし、留学の効果が高いのは確かですが、昨今では学習リソースが多く費用対効果が良いものとは言えません。検討している方は、現状に照らし合わせてよく考えましょう。
私はしばらくオンライン英会話と添削サービスを使い、SpeakingとWritingを特訓する予定です。ReadingとListeningは技術文書やYoutubeの動画で自然と多読多聴ができるので、あまり意識はしないことにします。
なお、Twitter等で質問いただければ、分かる範囲でお答えします。お悩みの方はぜひ。